「新しい仕事に向けて、どんな知識を身につけておこう?」
転機を迎えた私が最初に選んだのは、ネットマーケティング検定だった。候補にした3つの資格の中では、最も短期間で取得できそうだったから――。
この記事では、中小企業診断士として培ったマーケティング知識を、デジタルの世界にどうつなげていったのか、そしてネットマーケティング検定の学習を通じて見えてきた新しい視点について、リアルな体験をお届けします。
「従来のマーケティング」と「デジタルマーケティング」。同じマーケティングでも、まったく違う世界がそこにはありました。
はじめに|転機に備える「短期決戦」の資格選び
思い返してみると、その時の私は少し焦っていたかもしれない。
転機を迎え、新たな仕事に備える必要があった。第2段階目の異動までに、何かしらの武器を身につけておきたい。そんな思いで候補にした資格が3つあった。
「どれにしよう?」
本屋の資格コーナーで、それぞれのテキストをパラパラとめくりながら考えた。時間的な制約もある。確実に合格できそうで、かつ実務に活かせそうなもの。
そんな中で目に留まったのが、ネットマーケティング検定だった。
「これなら、短期間で取得できそうだな」
そう思ったのが、選んだ理由の一つだった。でも、それだけではない。もう一つ、大きな理由があった。
私には、中小企業診断士として培ったマーケティングの知識があった。市場分析や戦略立案については、ある程度理解していたつもりだった。
でも、「ウェブ上でのマーケティング」となると、また別の話だった。
「これからの時代、デジタルマーケティングの知識は不可欠だよな」
そう感じていた。新しい環境に適応するためにも、ここでしっかりと学んでおきたい。
決めたら、あとは行動あるのみ。さっそく教材を購入し、勉強を開始した。
「よし、やってみよう」
その時の私は、まだ知らなかった。知っているつもりだったマーケティングの知識が、デジタルの文脈ではまったく違う意味を持つことを。
知っているつもりだった「マーケティング」の新しい顔
勉強を始めて、最初に感じたのは戸惑いだった。
「あれ?これ、知ってるはずなのに、なんか違うな」
中小企業診断士の勉強で学んだマーケティングの基礎知識。顧客のニーズを調査し、最適な商品やサービスを提供する。ターゲットを明確にし、適切なポジショニングを行う。そんな基本的な考え方は、もちろん共通していた。
でも、デジタルマーケティングでは、それだけでは足りなかった。
単に「良いものを提供する」だけではなく、それを「どう届けるか」が極めて重要になる。
例えば、従来のマーケティングでは、テレビCMや新聞広告、チラシなど、限られたメディアを通じて情報を発信していた。でも、デジタルの世界では、選択肢が無数にある。
ウェブサイト、SNS、メール、動画、ブログ、検索エンジン……。
「こんなにたくさんのチャネルがあるのか」
そして、それぞれに特性があり、使い方も異なる。同じメッセージでも、伝える場所や方法によって、受け取られ方がまったく変わってくる。
「これは、確かに別の知識が必要だな」
そう実感した瞬間だった。
さらに、デジタルマーケティングの特徴として、「測定可能性」がある。従来のマーケティングでは、効果を測定するのが難しかった。テレビCMを見て商品を購入したのか、それとも店頭で偶然見つけて購入したのか、因果関係を特定するのは困難だった。
でも、デジタルの世界では違う。
「クリック数、コンバージョン率、滞在時間……」
細かいデータが取れる。どの施策がどれだけの効果を生んだのか、数字で把握できる。
「これは、PDCAサイクルを回しやすいな」
そんなことを考えながら、テキストを読み進めていた。
AIDMAからAISASへ|消費者行動の変化を実感
勉強を進める中で、特に印象に残ったのが、消費者行動モデルの変化だった。
従来のマーケティングでは、「AIDMA」というモデルがよく使われていた。
Attention(注意) Interest(関心) Desire(欲求) Memory(記憶) Action(行動)
「確かに、これまではこの流れだったな」
テレビCMで商品を知り(Attention)、興味を持ち(Interest)、欲しくなり(Desire)、覚えておいて(Memory)、店頭で購入する(Action)。そんな流れが一般的だった。
でも、インターネットが普及した現在では、「AISAS」というモデルの方が適している。
Attention(注意) Interest(関心) Search(検索) Action(行動) Share(共有)
「なるほど、確かにそうだ」
商品に興味を持ったら、まずインターネットで検索する(Search)。そして購入後は、SNSで感想を共有する(Share)。そんな行動パターンが当たり前になっている。
「自分自身も、まさにこの通りの行動をしてるな」
気になる商品があれば、まずスマホで検索。口コミを調べて、価格を比較して、それから購入を決める。そして購入後は、「買ってよかった」とか「思ったより微妙だった」とか、SNSで感想をつぶやく。
消費者の行動が変わったということは、マーケティングのアプローチも変わる必要がある。
「Search」の段階では、SEO(検索エンジン最適化)やリスティング広告が重要になる。「Share」の段階では、SNSでの口コミやレビューが購買に大きな影響を与える。
「デジタルマーケティングって、こういう消費者行動の変化に対応するためのものなんだな」
そんなふうに理解が深まっていった。
デジタルの世界で広がる「タッチポイント」という概念
学習を進める中で、特に興味深かったのが「タッチポイント」という考え方だった。
タッチポイントとは、企業と顧客が接触する機会のこと。従来のマーケティングでは、店頭やテレビCM、営業担当者との接触など、限られたタッチポイントしかなかった。
でも、デジタルマーケティングでは、タッチポイントが飛躍的に増える。
「ウェブサイト、SNS、メール、動画、ブログ、アプリ……」
それぞれが、顧客との接点になり得る。そして、それぞれのタッチポイントで、異なる情報を提供し、異なる体験を作ることができる。
例えば、ウェブサイトでは詳細な商品情報を提供し、SNSではカジュアルなコミュニケーションを取り、メールでは個別にカスタマイズされた情報を届ける。
「顧客との関係性を、多面的に構築していくんだな」
そんなイメージが湧いてきた。
さらに、デジタルマーケティングでは、これらのタッチポイントが連携することで、より大きな効果を生む。
SEO(検索エンジン最適化)で検索結果に表示され、コンテンツマーケティングで価値ある情報を提供し、SNS広告でターゲットにリーチする。
それぞれの手法が独立しているのではなく、組み合わさることで、相乗効果を生む。
「これまでのマーケティング知識と、どうつながっていくんだろう?」
そんなことを考えながら、一つ一つの手法を学んでいった。
そして、学習を進めるうちに、だんだんとつながりが見えてきた。
中小企業診断士で学んだ「セグメンテーション」「ターゲティング」「ポジショニング」という基本概念は、デジタルマーケティングでも重要だった。ただ、その実現方法が、デジタルツールを使うことで、より精密に、より効率的になっている。
「知識の土台があったからこそ、理解しやすかったのかもしれないな」
そんなふうに感じていた。
無事合格|でも本当のスタートはここから
順調に学習を進め、無事にネットマーケティング検定を取得することができた。
「よし、合格だ」
素直に嬉しかった。短期間で集中して勉強したかいがあった。
でも、勉強を進める中で強く感じたのは、デジタルマーケティングの奥深さだった。
単に資格を取るだけではなく、実際のビジネスの中でどのように活かせるのかを考えることが大切だ。
例えば、SEOについて学んだとしても、実際にウェブサイトの検索順位を上げるためには、継続的な努力と試行錯誤が必要になる。コンテンツマーケティングについて理論を理解したとしても、読者に価値を提供する文章を書くためには、実践を積み重ねる必要がある。
「理論と実践の間には、大きなギャップがあるな」
そんなことを感じていた。
それでも、今回の学習で得たものは多かった。
中小企業診断士のマーケティング知識と、デジタルマーケティングの知識が結びつき始めたことで、より実践的な視点を持てるようになった。
これまでのマーケティングの視点に、「『顧客との接点=タッチポイント』をどう作るか」というデジタルの視点が加わることで、マーケティング戦略の立て方そのものが変わってくる。
「戦略を立てるときの選択肢が、格段に増えたな」
そんな実感があった。
実務との接続|資格は「道具」でしかない
資格を取ったことで、知識の土台はできてきた。しかし、本当に大切なのは、これを実務にどう活かすかということ。
資格はあくまで「道具」に過ぎず、それを使いこなせなければ意味がない。
そんなことを、合格後に改めて感じていた。
今後の課題は、実務との接続だ。学んだ知識をどう活かし、具体的な成果につなげるか。
特に、マーケティングの分野は、実際に試してみなければわからないことが多い。理論として理解したことが、必ずしも現場でそのまま通用するとは限らない。
「ターゲットはこの層だ」と決めても、実際にアプローチしてみると、思ったような反応が得られないこともある。「このコンテンツは響くはず」と思って作っても、実際には全然読まれないこともある。
試行錯誤を重ねながら、実際のビジネスの中でどう応用できるのかを探っていく必要がある。
幸い、今後の仕事の中でデジタルマーケティングの知識を活かせる機会がありそうだった。そのための武器として、この資格を取得したのだから。
「実際にやってみて、初めてわかることがあるだろうな」
そんな期待と不安を抱きながら、次のステップに向けて準備を進めていた。
でも、一つだけ確信していることがあった。
知識の点と点がつながり、キャリアの幅が広がっていく感覚がある。
中小企業診断士で学んだマーケティングの基礎知識。そこに、デジタルマーケティングの知識が加わることで、新しい視点が生まれている。
「これまでとは違う仕事ができそうだな」
そんな手応えを感じていた。
まとめ|知識の点と点がつながり、キャリアの幅が広がっていく
振り返ってみると、ネットマーケティング検定の取得は、私にとって重要な一歩だった。
最初は「短期間で取得できそう」という理由で選んだ資格だった。でも、実際に学んでみると、それ以上の価値があった。
従来のマーケティング知識とデジタルマーケティングの知識が結びつくことで、新しい視点が生まれた。顧客との接点の作り方、情報の届け方、効果の測定方法。すべてにおいて、選択肢が広がった。
「AIDMA」から「AISAS」へ。消費者行動の変化に対応するためのマーケティング手法を学べたことは、大きな収穫だった。
そして何より、「タッチポイント」という概念を理解できたことで、マーケティング戦略の立て方そのものが変わった。
でも、本当のスタートはここからだ。
資格取得はゴールではなく、新たなスタートライン。
学んだ知識を実務でどう活かすか。実際に試してみて、どんな成果を出せるか。そこが本当の勝負だ。
「ここで止まるつもりはない。次のターゲットに向けて、歩を進めていく――」
そんな思いで、次のステップに向かっていった。
知識は積み重なっていく。そして、その積み重ねが、やがてキャリアの可能性を広げてくれる。
「最初は『短期間で取得できそう』という理由だったけど、結果的には大正解だったな」
そんなふうに思いながら、次の挑戦に向けて歩を進めていく。
きっと、この知識も、次の学びとつながっていくのだろう。そして、その先にまた新しい可能性が待っているのだろう。
実際に使用した教材
ネットマーケティング検定公式テキスト インターネットマーケティング 基礎編 第4版 2,200円
ネットマーケティング検定過去問題集 第4版 2,926円
これらの公式教材を中心に学習を進めました。特に過去問題集は、実際の試験の傾向を把握するのに役立ちました。短期間での合格を目指す方には、この2冊での集中学習をおすすめします。
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